女性税理士の割合は?多様な働き方やメリットを紹介
公開日: 2023年12月15日
更新日: 2024年11月13日
「税理士は男性が活躍しているイメージがある」、「女性の数は少なそう」と思う方もいるでしょう。たしかに、割合としては男性が多めですが、女性が税理士になるメリットは多数あります。
本記事では、女性税理士の割合や多様な働き方を解説します。税理士を目指すメリットも紹介しているので、税理士試験に挑戦しようか悩んでいる方もぜひご覧ください。
\資格取得を目指す方を積極採用中!/
女性税理士の割合
まずは、女性税理士の割合から確認しましょう。日本税理士会連合会のデータによると、2023年3月末時点での税理士登録者の男女比率は下記のとおりです。
引用:日本税理士会連合会「データで見る税理士」
女性税理士の割合は約15%なので、決して多いとはいえません。しかし、女性税理士の登録者数は、次のグラフのとおり年々増えています。
引用:日本税理士会連合会「データで見る税理士」
女性税理士の登録者数の推移 | |
---|---|
年度 | 登録者数 |
2007年度 | 8,580人 |
2012年度 | 1万39人 |
2017年度 | 1万1,423人 |
2022年度 | 12,592人 |
また、令和4年度の税理士試験の結果を見ると、税理士試験の女性合格者数の割合は約30%です。
令和4年度 税理士試験の結果 | ||||
---|---|---|---|---|
受験者数 | 5科目到達者数 | 一部科目 合格者数 | 合格者数 合計 | |
女性 | 7,761人 | 187人 | 1,504人 | 1,691人 |
男性 | 21,092人 | 433人 | 3,502人 | 3,935人 |
現時点で税理士登録をしている女性は約15%ですが、これからも女性税理士の割合は増えていくと予想できます。
女性税理士が持たれやすいイメージ
女性税理士は、どのようなイメージを持たれやすいのでしょうか。あくまで一例ですが、抱かれやすい印象を3つ紹介します。
- 男性に話しにくいことを相談できる
- きめ細やかなサポートをしてくれる
- 女性経営者にとって心強い
男性に話しにくいことを相談できる
相談する内容によっては、男性よりも女性のほうが共感できることもあります。そのような話題は、女性税理士に依頼したいと考える人もいるでしょう。
とくに相続は、親族の人間関係や遺産なども関与してくるデリケートな内容です。一概にはいえませんが、女性税理士であればその場を上手にまとめてくれそうと期待できます。
また、家庭やプライベートが絡んでくる内容は、同性に相談したいと思う女性のクライアントも少なくありません。同性に相談したいと考える方からは、需要が高いといえます。
きめ細やかなサポートをしてくれる
「女性のほうが些細な点に気づきやすい」、「きめ細やかなサポートをしてくれそう」とイメージをもつ人は少なくありません。
また、人当たりがソフトな女性税理士には、気軽に相談しやすい点がメリットです。税理士側にとっても、クライアントの悩みや要望を聞けると、より細やかなサポートが可能となります。
ベテランの男性税理士には「このようなことを聞いてもいいのか」とためらう人もいるでしょう。ちなみに、税理士業界は高齢化しており、少々古いですが2014年のデータでは、税理士全体の半分以上が60歳以上です。
税理士の年代別割合 | |
---|---|
年代 | 割合 |
20代 | 0.6% |
30代 | 10.3% |
40代 | 17.1% |
50代 | 17.8% |
60代 | 30.1% |
70代 | 13.3% |
80代 | 10.4% |
やわらかい態度でアドバイスがほしいと思う方にとっては、女性税理士に依頼するケースがあります。女性ならではの特性・強みを活かせる機会は税理士でも十分にあります。
女性経営者にとって心強い
帝国データバンクの「全国『女性社長』分析調査(2022年)」によると、女性社長の割合はわずか8.2%です。女性活躍が推進されているとはいえ、まだまだ経営者は男性が中心です。
女性経営者にとって、女性ならではの悩みやコンプレックスに共感してもらえるのは、安心感につながります。女性のほうが理解しやすい事業や、女性経営者にとって同性の税理士は心強い存在です。
また、女性専用のネイルサロンやエステでは、男性税理士が出入りするよりも女性税理士のほうが顧客からも受け入れられるでしょう。
女性税理士の働き方3選
女性に限らず、税理士にはさまざまな働き方があります。働き方によって収入やライフスタイルも異なるので、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
ここでは、3つに分類して紹介します。
- 1.独立開業をする
- 2.税理士事務所で働く
- 3.一般企業で働く
1.独立開業をする
税理士として独立開業をすれば、自分自身の裁量で働けます。バリバリと活躍したい方は、努力次第でどんどん収入を伸ばすことも可能です。
反対に、家事や子育てでワークライフバランスを重視したい場合は、業務量を調整するとプライベートの時間も確保できます。
独立開業をすると責任が重く、顧客を獲得しないといけないプレッシャーはありますが、自由度は高くなります。また、定年も無いので生涯現役で働けるのもメリットです。
家事や育児、仕事のどれも諦めたくない方は選択肢の一つにしてください。独立開業については下記の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
【関連記事】税理士として独立するまでの流れは?必要な費用や成功するコツを紹介
2.税理士事務所で働く
税理士事務所の場合は、基本的に所属している事務所の方針で働きます。独立開業するよりはリスクが低く、ゼロから新規顧客の開拓をしなくてもよい点がメリットです。
ただし、業務量や働き方は事務所の規模や所長の考え方で異なるので、求人の情報や面接で確認しておきましょう。
個人の成果に応じて報酬が変動するシステムを採用している事務所もあり、実力次第で収入を伸ばすことも可能です。将来的に独立開業を目指している人にも、おすすめの働き方です。
3.一般企業で働く
一般企業で税理士として活躍するルートもあります。経理部や経営企画部門で働き、決算業務や経営陣の提言などを行うのが一般的です。
福利厚生を重視する場合や収入を安定させたい方は、企業に勤めるのも選択肢の一つです。ただし、年収は企業規模や給与形態で変わるため、高収入とは限りません。
女性が税理士を目指すメリット
女性が税理士を目指すメリットは下記の5つです。
- 男女間の格差が少ない
- 1科目ずつ合格を目指せる
- 税理士資格は生涯有効となる
- 職場復帰しやすい
- 転居しても就職しやすい
それぞれ解説します。
男女間の格差が少ない
税理士は実力で評価されるため、性別や学歴で格差が生まれにくいのが特徴です。そのため、性別に関係なく仕事を頑張りたい方に向いています。
一般企業に就職すると独自の評価制度が導入されている可能性はありますが、独立開業すると自身の頑張りが収入に直結します。
将来的に独立してビジネスを行いたいと考える人にも、おすすめの職業です。
1科目ずつ合格を目指せる
税理士試験は11科目のうち、5科目にクリアすると合格となります。しかし、科目合格制が導入されているため、1度の試験で5科目すべてに受験する必要はありません。
合格点に到達した科目は生涯有効となるので、年数が経っても再受験しなくて構いません。たとえば、1年で1科目ずつ挑戦するなど、自分のペースで学習を進められます。
育児や介護などを終えてから勉強を再開することも可能なので、プライベートと両立しながら合格を目指せる点がメリットです。
ただし、いずれの科目も難易度は高く、合格率は10~20%台で推移しています。直近5年間の税理士試験の科目別合格率を表にまとめたので、ご覧ください。
科目別 合格率の推移 | |||||
---|---|---|---|---|---|
年度 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 |
簿記論 | 23.0% | 16.5% | 22.6% | 17.4% | 14.8% |
財務諸表論 | 14.8% | 23.9% | 19.0% | 18.9% | 13.4% |
所得税法 | 14.1% | 12.6% | 12.0% | 12.8% | 12.3% |
法人税法 | 12.4% | 12.8% | 16.1% | 14.7% | 11.6% |
相続税法 | 14.2% | 12.8% | 10.6% | 11.7% | 11.8% |
消費税法 | 11.4% | 11.9% | 12.5% | 11.9% | 10.6% |
酒税法 | 13.2% | 12.6% | 13.9% | 12.4% | 12.8% |
国税徴収法 | 13.8% | 13.7% | 12.2% | 12.7% | 10.7% |
住民税 | 17.2% | 12.7% | 13.9% | 19.0% | 13.5% |
事業税 | 14.1% | 12.6% | 12.2% | 14.8% | 11.0% |
固定資産税 | 18.4% | 13.8% | 18.1% | 13.7% | 14.9% |
5科目合格までには、平均して10年かかるというデータもあります。長期戦を想定して、学習スケジュールを構築しましょう。
税理士試験の勉強時間の目安や、学習計画の立て方は以下の記事で紹介しています。これから勉強をはじめようと考えている方は、チェックしてください。
【関連記事】税理士試験の勉強時間は?学習計画の立て方や勉強のポイントを紹介
税理士資格は生涯有効となる
税理士資格を取得すると、税理士法違反をしない限り消えることはありません。一度職場を離れて仕事に復帰したい場合でも、資格は有効です。
長時間かけて勉強に取り組むのは大変ですが、ロングスパンで活躍できる点が魅力です。
職場復帰しやすい
会社によっては出産や育児を機に一度現場から離れてしまうと、職場復帰するのが難しい場合もあるでしょう。職種によっては、いくら優秀なスキルを持っていても、他社で評価されないケースも少なくありません。
しかし、税理士資格は難関の国家資格で、持っているだけでも企業から重宝されます。履歴書にも書けるため、書類選考でも有利です。
ちなみに、個人事務所は柔軟な働き方を推進しているケースもあり、勤務時間の融通が利く可能性があります。
実際に当事務所でも6時間勤務を基本としており、プライベートと両立しやすい環境を整えています。気になる方は、ぜひお問い合わせください。
転居しても就職しやすい
職種や業界によっては都心に集中していたり、地域が限定される仕事もあります。しかし、税理士業務は納税者がいる限り、なくなることは考えられません。
もちろん場所によっては偏りはありますが、税理士事務所は全国に存在するので、場所を問わず就職先があるのは大きなメリットです。
また、会計事務所の売上高は年々伸びています。
会計事務所売上高の推移 | |
---|---|
年度 | 売上高 |
2013 | 1兆4,549億円 |
2014 | 1兆5,067億円 |
2015 | 1兆6,650億円 |
2016 | 1兆6,275億円 |
2017 | 1兆6,514億円 |
なお「令和3年経済サンセス-活動調査」によると、令和3年の売上高は1兆9,022億円でした。
しかし、売上高が伸びているにもかかわらず、税理士業界は人手不足の傾向にあります。働き先で困るケースは無いでしょう。
女性税理士として活躍しよう
税理士の登録者数は男性の割合が約85%なので、女性の数は少なめです。しかし、登録者数は年々伸びており、これから先も増え続けると予想できます。
また、税理士にはさまざまな働き方があり、希望するライフスタイルに合わせやすい点が魅力です。性別で左右されることもないため、バリバリと働きたい女性にもおすすめです。
ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。
当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。
一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。
働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。
働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。
この記事の監修者
ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介
- 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
- 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
- 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
- 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
- 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立
税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。
従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。
監修者(弊所代表)の詳細はこちら。
関連記事
税理士の仕事内容は?一日の流れや働き方、メリットを簡単に解説
税理士登録に必要な実務経験はどこで積む?業務の具体例も解説
税理士科目合格者の市場価値はどれくらい?試験の難易度や有効期限を解説
経理の資格おすすめ21選!未経験・簿記以外で役立つ資格一覧
経理の仕事内容とは?一日のスケジュール例や業務の流れを解説
税理士に向いている人とは?向いていない人の特徴や必要なスキルも解説
税理士の繁忙期はいつ?業務内容やスケジュール例を紹介
ホワイトな税理士事務所の特徴は?見極め方や面接で確認したいことを解説
経理の年収は何で決まる?年収アップするための3つの方法を解説
経理に向いてる人が持つ11の特徴。未経験でも経理へ転職できる?
税理士試験の勉強時間は?学習計画の立て方や勉強のポイントを紹介
税理士試験は独学で合格できる?難しい理由や合格に近づくコツを解説
税理士試験の簿記論とは?合格率や勉強時間、勉強方法のコツを紹介
経理担当者はまず何を勉強すべき?必要なスキルと勉強法を解説
経理職のキャリアプランは何がある?代表的なキャリアパスを解説
税理士と会計士の違いは?独占業務や働き方、年収の違いを解説
税理士登録に必要なこと|実務経験や登録費用、面接について一挙解説
税理士として独立するまでの流れは?必要な費用や成功するコツを紹介
経理と財務の違いは?業務内容や一日の流れ、向いている人の特徴を解説
経理が転職しやすい理由とは?おすすめ転職先や年収を上げるコツを紹介
税理士に将来性はある?AIの影響や活躍できる人材の特徴を紹介
高卒でも税理士になれる?試験の概要や受験資格もあわせて紹介
働きながらでも税理士は目指せる?勉強と両立するコツを解説
経理の仕事はなくなる?将来性や自動化の可能性がある業務を解説
経理が人手不足になる原因や解決策を紹介
税理士になるための学部の選び方 大学時代に資格勉強を開始して、最短距離を目指そう
女性税理士の割合は?多様な働き方やメリットを紹介
経理と総務の違いは?仕事内容や年間スケジュールを紹介