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高卒で税理士になるには?受験資格や試験概要、年収も紹介

「税理士になるのは難しいから高卒の自分には無理」、「そもそも高卒者でも税理士試験を受けられるの?」と考える方もいるでしょう。

本記事では高卒でも税理士になれるのか、受験資格などを解説します。学歴別の合格率も紹介しているので、高卒者で税理士を目指している方は参考にしてください。

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高卒でも税理士になれる?それとも無理?

高卒で税理士になるのは無理でしょうか。

結論、高卒でも税理士になることは可能です。実際に、最終学歴が高卒でも税理士として活躍している人はいるので、学歴を理由に諦める必要はありません。

税理士試験は必修と選択を組み合わせた計5科目が合格点に到達すると、合格となります。ただし、科目合格制が採用されているので1度の試験で5科目のすべてに合格する必要はありません。数年かけて5科目に挑戦するのが一般的です。

税理士の科目合格については、こちらの記事で紹介しているのでご覧ください。なお、税理士試験の受験資格については後述しています。

【関連記事】税理士科目合格者の市場価値はどれくらい?試験の難易度や有効期限を解説

税理士になるのに学歴・経歴は関係ない

高卒だけでなく、中卒で刑務所に入った経験がある人、破産した人や、夜のお仕事をしていた人で税理士になった人もいます。

現在税理士として活躍されている方もそれぞれいろいろな人生を歩んできているので、自分の境遇と似ているモデルケースを探して目標にしてはいかがでしょうか。

税理士試験の高卒合格率は?

税理士試験の高卒合格率はどれくらいなのでしょうか。

令和4年度税理士試験の、学歴別の結果は下記のとおりです。

令和4年 税理士試験の学歴別の結果
学歴別受験者
(人)
5科目
到達者数(人)
一部
合格者数(人)
合格者数
合計(人)
合格率
(%)
大学卒21,8224933,5614,05418.6
大学在学中1,46343643629.8
短大・旧専卒66016759113.8
専門学校卒2,5915940446317.9
高校・旧中卒1,9624438943322.1
その他355814114942.0
出典:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験

高卒で税理士になった人の割合は22.1%

高校・旧中卒の合格率は、大学在学中の29.8%についで22.1%です。受験者数の分母は考慮する必要がありますが、決して低い数字ではありません。合格率と学歴は、直接関係していないことがわかります。

高卒者が税理士試験の受験資格を得る方法

税理士試験は誰でも受験できるわけではなく、受験資格を満たさなければ受験できません。ただし、令和5年度から受験資格が緩和されたので、受験へのハードルは低くなりました。

これまで「高卒だから受けられない」と思っていた人にはチャンスです。税理士試験の受験資格は合計で3つあるので、1つずつ解説します。

簿記論・財務諸表論は誰でも受験できる

税理士試験は下記の11科目のなかから、必須・選択必須・選択の計5科目を選択して合格する必要があります。

税理士試験の科目
科目選択/必須
簿記論必須科目
財務諸表論必須科目
所得税法選択必須科目
法人税法選択必須科目
相続税法選択科目
消費税法選択科目
酒税法選択科目
国税徴収法選択科目
住民税選択科目
事業税選択科目
固定資産税選択科目

令和5年度の試験から、必修科目の簿記論と財務諸表論は誰でも受験ができるようになりました。その他の科目には受験資格が定められていますが、まずは上記2科目から挑戦するとよいでしょう。

【関連記事】税理士試験の簿記論とは?合格率や勉強時間、勉強方法のコツを紹介

税法科目は受験資格が決められている

簿記論・財務諸表論は受験資格が撤廃されましたが、その他の9科目は下記の3つのうちいずれかの要件を満たさなければいけません。

  • 学歴による受験資格
  • 資格による受験資格
  • 職歴による受験資格

それぞれ解説します。

学歴による受験資格

受験資格を得られる方

証明書類

大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、

社会科学に属する科目(※1)を1科目以上履修した者

成績証明書

(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要)

大学3年次以上で、社会科学に属する科目(※1)を

1科目以上含む62単位以上を取得した者

成績証明書

(大学3年次以上であることが確認できるもの)
(年次の記載がないものは大学3年次以上であることが確認できる書類(年次の記載がある在籍証明書等)も必要
※大学3年次以上であることが確認できない成績証明書が多いので注意してください)

一定の専修学校の専門課程(※2)を修了した者で、

社会科学に属する科目(※1)を1科目以上履修した者

成績証明書
(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要)
及び
課程証明書
(当該専門課程が左欄の1及び2の要件を満たす課程であることについて都道府県知事等が発行した証明書を専修学校が原本証明したもの)

司法試験合格者

所管官庁の合格証明書

公認会計士試験の短答式試験に合格した者(※3)

公認会計士・監査審査会会長発行の「公認会計士試験短答式試験合格通知書」又は「短答式試験合格証明書」

※1 「社会科学に属する科目」には、改正前(令和4年度の税理士試験以前)の「法律学に属する科目」に該当していた、法学、法律概論、日本国憲法、民法、刑法、商法、行政法、労働法、国際法等、また、「経済学に属する科目」に該当していた、(マクロ又はミクロ)経済学、経営学、経済原論、経済政策、経済学史、財政学、国際経済論、金融論、貿易論、会計学、簿記学、商品学、農業経済、工業経済等の科目のほか、文系学部・理系学部を問わず、多くの学生に履修の機会があると考えられる、社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等の科目が該当します。 また、その科目が「専門科目」ではなく、いわゆる「教養科目」や「共通科目」として位置づけられている場合であっても対象となります。⇒詳細はQ&Aを参照してください

引用元:国税庁「税理士試験受験資格の概要

高卒の方が今から大学や短大を卒業すれば、学歴による受験資格を選択できます。社会科学に属する科目は政治学や心理学も対象なので、法学部や経済学部以外でも構いません。

ただし、税理士の受験資格を得るためだけに大学や短大に入学するのは得策とはいえません。時間も授業料もかかるので、税理士試験の受験資格を得ることだけが目的ならば他のルートを推奨します。

資格による受験資格

受験資格を得られる方 証明書類
日商簿記検定1級合格者(※4) 日本商工会議所発行の合格証明書
(合格証書は不可)
全経簿記検定上級合格者(※5) 公益社団法人全国経理教育協会発行の合格証明書 (合格証書は不可)

※4 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
※5 公益社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限られます。)

引用元:国税庁「税理士試験受験資格の概要

簿記の知識は税理士試験だけでなく業務でも必須の知識なので、簿記の取得を目指すのはおすすめです。難易度は高いですが、受験資格がなく高卒者でも受けられるので挑戦する価値はあります。

日商簿記検定1級と全経簿記検定上級の資格概要も掲載しておくので、参考にしてください。

日商簿記検定1級の概要
試験時期6・11月
受験資格なし
受験料(税込)7,850円(税込)
難易度(直近の合格率)12.5%(第164回)
勉強時間の目安
(日商簿記2級の知識がある場合)
600時間
出典:日本商工会議所「商工会議所の検定試験
全経簿記検定上級の概要
試験時期2・7月
受験資格なし
受験料(税込)7,800円 (税込)
難易度(直近の合格率)14.24%(第211回)
勉強時間の目安
(日商簿記2級の知識がある場合)
600時間
出典:全国経理教育協会「全経簿記能力検定

職歴による受験資格

受験資格を得られる方 証明書類
法人又は事業行う個人の会計に関する事務(※6)に2年以上(※7)従事した者

 

銀行、信託会社、保険会社等において、

資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上(※7)従事した者

税理士・弁護士・公認会計士等の

業務の補助事務に2年以上(※7)従事した者

※6 複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務等をいいます。
※7 異なる勤務先等の職歴は、通算して2年以上となれば受験資格があります。

引用元:国税庁「税理士試験受験資格の概要

職歴による受験資格とは、いわば経理の担当者として2年以上勤めることです。とくに税理士事務所で働きながら試験勉強に取り組むと、実務の内容が学習にも役立ちます。

また、税理士登録をする際には、いずれにせよ2年以上の実務経験を積まなければいけません。試験勉強と両立するのは容易ではありませんが、働きながら合格を目指すのはおすすめです。

働きながら税理士試験と両立するポイントは下記の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:働きながらでも税理士は目指せる?勉強と両立するコツを解説

今やほとんどの税理士事務所が人手不足です。税理士資格なし、科目合格なし、実務未経験でも採用してくれる事務所は増えています。

税理士になりたい熱意や勉強している形跡(簿記2級合格、税理士試験の勉強中など)があれば確率は上がります。

3つの受験資格のなかでは、資格による受験資格で日商簿記1級をとることがおすすめです。
税理士試験の簿記論と重複する部分は多くあります。

高卒でも独学で税理士試験に合格できる?

高卒でも資格要件を満たせば税理士試験を受験できますが、独学で合格できるのか気になる方もいるでしょう。

結論、税理士試験に独学で挑むのはおすすめできません。理由を以下の3つにわけて解説します。

  • 学歴に関係なく独学で合格するのは難しい
  • 通信講座や専門学校を利用するのが一般的
  • 簿記論・財務諸表論ならば独学でも可能性はある

学歴に関係なく独学で合格するのは難しい

税理士試験をクリアするための勉強目安時間は科目によって異なりますが、およそ5,000~10,000時間です。1年に1科目合格できればよいほうで、5科目に合格するまでに平均して10年ほどかかるというデータもあります。

試験が長期化するためモチベーションを維持するのが難しく、途中で結婚や介護などのライフイベントが重なる可能性もあります。なかなか思うように勉強が進まない場面も出てくるでしょう。

また、市販のテキストだけで対策するのは厳しいといえます。なぜなら、税法科目のテキストはほとんど販売されておらず、売っていても最新の税法の情報が反映されていないからです。

市販のテキストは基本的には1~2年前の情報をもとに作成されているので、改正前の税法で勉強をすることになります。税法改正のたびに自身で情報をアップデートするのは非効率なので、独学はおすすめしません。

通信講座や専門学校を利用するのが一般的

税理士試験の合格を目指すなら、通信講座や専門学校の利用はほぼ必須といえます。費用が気になるかもしれませんが、早めに合格して税理士として活躍できればお金はすぐに回収できるでしょう。

一人で勉強しているときに疑問が生じると解決できるまでに時間がかかりますが、予備校を利用していれば講師に質問できます。また、最新の税法を授業で教えてもらえるのも大きなメリットです。

本気で合格を目指すならば、予備校を利用しましょう。

簿記論・財務諸表論ならば独学でも可能性はある

必須科目の簿記論・財務諸表論であれば、税法の改正が少ないため独学でも合格できる可能性はあります。また、市販のテキストもいくつか販売されているので、一人でも対策はできるでしょう。

少しでも費用を抑えたいのであれば、中古のテキストを購入しても構いません。ただし、結局合格できずに予備校を利用する人も少なくないので、いずれの科目も独学で挑むのは慎重に検討しましょう。

高卒の税理士の年収は?大卒と差はある?

税理士になれば優秀なスキルをもつ人材が評価されるため、学歴で年収に差が生じるケースはほとんど無いでしょう。ただし、勤め先で独自の評価制度が採用されている場合は、学歴で年収が変わる可能性はあります。

年収のことを詳しく知りたい方は、「税理士の平均年収は?収入アップをめざす方法8選を税理士所長が解説」をご覧ください。

ただし、独立開業すると自身の成果が収入に直結するので、将来的に独立を視野に入れてもよいでしょう。税理士として独立開業する道のりや、メリット・デメリットは下記の記事で解説しています。

【関連記事】税理士として独立するまでの流れは?必要な費用や成功するコツを紹介

受験資格をクリアすれば高卒でも税理士を目指せる

高卒者でも受験資格を満たせば、税理士にはなれます。とくに必須科目である簿記論・財務諸表論は令和5年度の試験から誰でも受けられるようになったため、チャンスです。

他の税法科目には受験資格が必要ですが、おすすめの方法は日商簿記1級を取得するルートです。税理士試験の簿記論と重複する内容も多いので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。

当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。

一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。

働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。

働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。

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この記事の監修者

ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介

  • 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
  • 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
  • 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
  • 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
  • 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立

税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。

従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。

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