経理が転職しやすい理由とは?おすすめ転職先や年収を上げるコツを紹介
公開日: 2023年10月16日
更新日: 2024年11月13日
経理は転職しやすい、転職先に困らないから羨ましいと思うかもしれません。たしかに、経理は企業にとって欠かせない存在です。
しかし、すでに経理職として働いており、キャリアチェンジをしたい方や収入アップを希望して転職を考えている人もいるでしょう。
本記事では、経理が転職しやすい理由を説明し、おすすめの転職先や年収を上げるコツを解説します。未経験からでも挑戦できる方法を紹介しているので、これから経理を目指そうと考えている方もぜひご覧ください。
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経理が転職しやすいと言われる理由
経理が転職しやすいと言われる理由は、以下のとおりです。それぞれ理由を解説します。
- どの会社でも必要とされる
- 事務職の中では求人数が多い
- 基本的な業務が共通している
- 経験者・資格保有者は評価されやすい
- 実績やスキルをアピールしやすい
どの会社でも必要とされる
経理は会社の資産の流れを記録するのが主な役割ですが、お金の動きが発生しない会社はありません。経理は業界・業種に関係なくどの企業にも不可欠な職種です。
ほぼすべての会社に経理部、もしくは経理の業務を担うポジションは存在しています。もしも不景気で部門の縮小があるとしても、経理人員をゼロにすることはできません。
事務職の中では求人数が多い
経理はどの会社でも必要とされているだけではなく設立当初から存在している部門のため、基本的に欠員が発生すれば募集をかけます。そのため、求人がなくなるケースはほとんど無いでしょう。
厚生労働省が発表した、令和4年度の求人倍率は以下のとおりです。
職種 | 求人倍率 |
---|---|
一般事務 | 0.33倍 |
医療事務 | 0.33倍 |
経理事務 | 0.57倍 |
営業事務 | 1.00倍 |
有効求人倍率とは求人数÷求職者数で求めた数字で、一人あたり何件の求人があるかを示す指標です。
たとえば、求人の数が10件で求職者数も10人であれば1倍となります。反対に求人が10件に対し、求職者が20人の場合は0.5倍に減少します。
事務職は一つの会社に数名しか配置しないケースがほとんどのため、求人の数は少なめです。しかし、経理事務は一般事務や医療事務と比較すると、就職・転職しやすいことを示しています。
また、大手転職サイトのリクルートエージェントで求人数を確認したところ、経理事務の求人は8,120件ヒットしました。(2023年9月時点)
母数が多ければ、自身に合う会社も見つけやすい点がメリットです。
基本的な業務が共通している
業務内容はどの業種・業態でも共通しており、求められるスキルや知識はほとんど同じなので、転職しても活躍できるでしょう。
経理の主な業務は以下のとおりです。
- 仕訳入力
- 伝票の起票や整理
- 現金・預金管理
- 月次・年次決算など
ただし、会社の規模の大きさで業務が変わる可能性があります。
大企業は業務量が膨大ですが、それに合わせて経理担当者の人数を確保して分業制にしているケースがほとんどです。ただし、分業しているからこそ、一つの業務に対して深く専門的な知識が求められます。また、子会社を持っている会社であれば連結会計の知識も必要です。
一方、中小企業ではオールラウンダーとしての活躍が期待される傾向にあります。従業員が少なければ、経理や人事、総務までひとりでこなす会社もあります。
基本的な仕事は共通していますが、会社規模を変えて転職する場合は業務内容を確認しましょう。
経験者・資格保有者は評価されやすい
経理は専門スキルが求められるため、やはり経験者が優遇される傾向にあります。
なかでも、採用条件に簿記2級の取得者や、実務経験〇年以上とあらかじめふるいをかけている場合も多くあります。経理の経験に加えて資格を保有していれば、選考を有利に進められるでしょう。
また、今後の経理はITを使った業務設計ができる人が役に立つといえます。ひたすら会計入力を手入力でやるのではなく、どこかにあるデータを会計データに変換するための仕組みが考えられる人はさらに重宝されるでしょう。
実績やスキルをアピールしやすい
経理は担当した仕事内容を言語化できるので、スキルをアピールしやすくなります。たとえば、年次決算や連結決算、税務申告書の作成経験があればレベルの高さが伝わるでしょう。
求職者側にとっても自分自身の能力を把握できていると、企業とのミスマッチを防げる点がメリットです。他の事務職と比較すると実績を伝えやすいため、スキルを棚卸しして効果的にアピールしましょう。
経理の経験を活かしやすい転職先
他の職種にキャリアチェンジする手段も考えられますが、経理の経験を活かして別の部門に異動するのもいいでしょう。経理の経験を活かしやすい転職先は以下の3つです。それぞれ解説します。
- IR部門
- 経営企画部門
- 内部監査部門
IR部門
IRとは「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略で、株主や投資家に向けて情報提供をする活動全般を指します。広報部や経営企画部の名称でIR部門を設けている会社もあります。
社外の人間に対して経営に関する財務諸表をわかりやすく説明し、さまざまな質問・要望に対して回答する機会があるので、経理の業務経験を十分に活かせるでしょう。
利害関係者と会話する場面も多く、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力があれば、さらに重宝されます。
ちなみに、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」では平均年収は437.4万円ですが、年収は企業によって異なるでしょう。
経営企画部門
経営企画部門では企業が定めた経営方針やビジョンをもとに、中長期的な計画を構築し実行します。経営に直結する仕事がしたいならば、ぜひ検討してください。
他にも競合他社や市場のデータを収集・分析して戦略を立てたり、ときには部署同士の連携も取ったりなど、さまざまな能力が求められます。
経理的な視点が役立つ業務なので、管理会計にやりがいを感じる人におすすめです。平均年収の公的なデータは見つかりませんでしたが、一般的には500万円程度が相場です。
内部監査部門
内部監査とは、企業全体の内部統制を整備して運用状況を報告し、改善案を提言する業務です。企業内部の不正防止や業務の効率化を目的に行われます。
数字の扱いに得意で、普段からコツコツと業務をこなせる人には向いているでしょう。令和4年賃金構造基本統計調査の平均年収は490.7万円ですが、企業によって差が出ます。経験を積めば監査役も目指せます。
経理経験者が年収を上げるコツ
社内で年収アップするならば、より高度な仕事を担当して給与アップを狙うか、昇進してマネジメントのポジションを掴むのが一般的です。しかし、年数を重ねる必要があり、努力が給与に直結する可能性は低いでしょう。
ならば、大企業か会計事務所に転職するのも一つの方法です。経理経験者が年収を上げるコツを紹介します。
資格・スキルを習得して昇格を目指す
資格手当が支給される会社であれば、対象の資格を取得すると知識も増えて年収も上がります。また、勉強の成果を発揮して役職が上がれば、収入アップも望めるでしょう。
経理で評価されやすい資格を保有していれば、転職でも評価されやすいため市場価値も上がります。他の会社へも転職しやすくなるので、資格手当の有無に関わらずスキルアップはおすすめです。
給与水準の高い企業へ転職する
経理の年収は実力や成績ではなく、勤務先企業の平均年収によって左右されやすい傾向にあります。大手企業は会社全体の年収が平均より高いため、それに伴って事務職・経理職の年収も高くなるのが一般的です。
一方、どれだけ素晴らしいスキルがあっても、平均年収が低い会社では大幅に収入が伸びる可能性も期待できないでしょう。
年収アップを狙うならば、大手企業にチャレンジするのも一つです。求められるスキルや業務の幅は広がるかもしれませんが、よい刺激になるでしょう。
会計事務所へ転職する
経理として転職するならば一般企業だけを考えるのではなく、会計事務所への転職も検討してはいかがでしょうか。
会計事務所は個人の売り上げが給与の基準として反映されやすいので、成長意欲の高い方にはおすすめです。保有資格の有無で業務の幅が広がり、担当範囲が増えると収入アップも期待できます。
たとえば当事務所では職階をG1~G7まで設けており、それに応じて給与が反映される仕組みです。ご自身の業績や勤務態度で昇給を目指せるので、実力主義の現場だといえます。
他にも評価制度を設けている会計事務所はあるので、確認してみるとおもしろいでしょう。
とくに税理士事務所であれば、税理士試験に1科目でも合格していれば評価される可能性は高いといえます。もしも簿記2級を持っているのであれば、ステップアップとして簿記論や財務諸表論に挑戦してみるのもおすすめです。
難関資格を取得して独立を目指す
簿記や会計の知識を活かせるので、税理士や公認会計士の資格を取得して独立するのも手段の一つです。独立開業をすれば個人の成果が反映されるので、リスクも伴いますが収入が大きく上がる可能性もあります。
税理士と公認会計士の資格の概要をそれぞれ掲載するので、ぜひチェックしてください。
税理士試験の概要は下記のとおりです。
試験時期 | 8月 |
---|---|
受験資格 | 簿記論・財務諸表論:なし その他の税法科目:学識・資格・職歴などで定めあり |
受験料(税込) | 1科目4,000円~5科目1万円 |
難易度(直近の合格率) | 科目によって10~20%で推移 |
勉強時間の目安 | 5,000~10,000時間 |
公認会計士試験の概要は下記のとおりです。
試験時期 | 短答式試験:5月・12月 論文式試験:8月 |
---|---|
受験資格 | なし |
受験料(税込) | 1万9,500円 |
難易度(直近の合格率) | 7.7% |
勉強時間の目安 | 3,500~4,000時間 |
未経験からでも経理に転職できる?
年齢にもよりますが、実務経験がなければハードルは高いでしょう。求人数は比較的多いと説明しましたが、実務経験のあるライバルも応募するかもしれません。
業務は専門的スキルが求められるため、やはり即戦力人材が採用されやすいといえます。もしくは、最初から募集条件を経験者に絞っている場合もあります。
未経験から経理への転職を考えるならば、簿記の取得がおすすめです。簿記を取得していれば、実務経験が無くても知識や意欲の高さをアピールできます。
簿記の知識が無い場合は、3級から挑戦するのがおすすめです。2級は合格率も低めなので、初学者がいきなり挑戦するのは難しいかもしれません。
ただし、一般的に選考で有利となるのは2級なので、アピールするためにも2級まで目指しましょう。日商簿記検定3・2級の概要を掲載します。
3級 | 2級 | |
---|---|---|
試験時期 | 2月・6月・11月 ※ネット試験は随時実施 | 2月・6月・11月 ※ネット試験は随時実施 |
受験資格 | なし | なし |
受験料(税込) | 2,850円 | 4,720円 |
難易度(直近の合格率) | 34.0% | 21.1% |
勉強目安時間 | 100~150時間 | 250~300時間 ※簿記3級の知識がある場合 |
経理は転職しやすい魅力的な職種
経理はどの会社にも必要とされる職種で欠かせない存在です。また、専門的スキルが求められるので、経験者は転職しやすいでしょう。
経理の経験を活かして転職する場合は、IRや経営企画部門も候補の一つです。違う方面から会社の数字や経営に携われるので、やりがいを感じられるでしょう。
ただし、年収アップを期待して転職を検討するならば会計事務所がおすすめです。個人の成果が給与に反映されやすいので、成長意欲の高い方は活躍できるでしょう。
ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。
当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。
一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。
働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。
働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。
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この記事の監修者
ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介
- 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
- 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
- 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
- 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
- 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立
税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。
従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。
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