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税理士試験の勉強時間は?おすすめの選択科目の選び方と勉強法

税理士試験に合格するまでには、相当な時間を要するケースがほとんどなので、長期化することを見越して学習スケジュールを立てることが重要です。

本記事では、税理士試験に必要な勉強時間の目安や選択科目の選び方について解説します。勉強のポイントも紹介するので、これから受験しようと考えている方は参考にしてください。

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税理士試験に合格するまでの勉強時間は?

税理士試験に合格するまでの勉強時間は?

税理士試験に合格するまでにかかる勉強時間の目安を解説します。必須科目や選択科目についても紹介するので、チェックしてください。

全体の勉強時間は5,000~10,000時間が目安

税理士試験の勉強時間は、5,000~10,000時間くらいを想定しておきましょう。5科目に合格するまでに必要な

大手予備校のホームページやほかのサイトでは、3,000~4,000時間が目安と書かれているケースも多いですが、実際にはもっとかかるでしょう。なぜなら、理論暗記の時間が省かれているからです。

理論暗記に要する時間は、法学部で学んだ経験や事前知識の有無など人によって異なります。そのため、多くのサイトで勉強時間を算出する際に含まれていません。

簿記論・財務諸表論以外の科目を税法科目といいますが、税法科目は理論暗記が必要なため、他サイトの目安時間のおよそ2倍の時間がかかると見積もっておくのが無難です。

科目ごとの勉強時間は300~1,200時間が目安

税理士試験の科目ごとの勉強時間は300~1,200時間が目安です。酒税法や国税徴収法で300時間、所得税法や法人税法になる1,200時間を要します。

税理士試験は11科目中、必須科目・選択必須科目・選択科目を含めた5科目に合格する必要があります。科目ごとの勉強目安時間を以下の表にまとめました。

科目選択/必須勉強目安時間
簿記論必須科目500時間
財務諸表論必須科目500時間
所得税法選択必須科目1,200時間
法人税法選択必須科目1,200時間
相続税法選択科目1,000時間
消費税法選択科目600時間
酒税法選択科目300時間
国税徴収法選択科目300時間
住民税選択科目400時間
事業税選択科目400時間
固定資産税選択科目500時間

科目ごとに差が生じる理由は、学習範囲が異なるからです。しかし、勉強目安時間だけで科目を選ぶのはおすすめできません。

税理士試験は満点の60%が合格基準とされていますが、試験の合格率は15~20%で推移しているため、実際には相対評価といえるからです。

勉強時間が少ない科目は「難易度が低いだろう」と考える人が多いため、ライバルも増える可能性があります。また、税理士として活躍を目指すならば、実務に役立つ科目を選ぶべきでしょう。

選択科目の選び方のポイントは後述するので、このまま読み進めてください。

税理士試験の学習スケジュールの立て方

税理士試験の学習計画の立て方

税理士試験の学習計スケジュールの立て方のポイントは以下のとおりです。

  • 何年で合格を目指すのか考えて逆算
  • 簿財から挑戦するのがおすすめ
  • 2~5年目は税法科目を受験する

それぞれ解説します。

何年で合格を目指すのかを考えて逆算

税理士試験は1年に1回のみで、毎年8月に試験が行われます。そのため、8月に行われる試験日から逆算して勉強計画を立てましょう。また、何年かけて合格を目指すのか決めておくことも重要です。

勉強に専念する場合もあれば、学業や仕事、家事・育児と両立しながら目指す場合など、勉強に充てられる時間はさまざまです。

5月以降は直前期と言われることもあり、それまでに学習を一巡しておくのが望ましいと言えます。週に捻出できる時間を計算し、何年以内で合格を目指すのか考えてスケジュールを立てましょう。

簿財から挑戦するのがおすすめ

簿財とは簿記論・財務諸表論を略して使われる言葉で、会計科目に該当します。簿記や会計の知識は税理士業務の基礎ともいえるので、先に会計科目から取り組むとよいでしょう。

すでに日商簿記検定の資格を取得している人は、学習内容が重複する部分もあるためステップアップしやすいといえます。

簿記論・財務諸表論を同時に勉強すると時間効率がよい

1年に1科目ずつ目指す場合はどちらか一方でも構いませんが、親和性が高いため2科目同時に勉強を進めるのがおすすめです。効率よく学習ができるほか、いずれにせよ必須科目のため合格しなければいけないからです。

ちなみに、令和5年度の試験から簿記論と財務諸表論の受験資格が撤廃されたため、誰でも受験が可能となりました。

2~5年目は税法科目を受験する

税法科目には会計の知識を求められるケースが多いため、会計科目に合格してから税法科目に挑戦するのが一般的です。簿記の知識があり会計科目の勉強時間を減らせる人は、1年目に1つだけ挑戦する方法も考えられます。

税法科目は理論の暗記が必要なため苦戦する人が大半です。とくに選択必須科目である所得税法・法人税法はボリュームが多いため、いきなり手を出すのであれば相当な覚悟が必要になるでしょう。

ある程度の勉強法を確立させた2年目以降に、選択科目に取り組むことをおすすめします。

関連記事:税理士になるには?資格取得までのステップをわかりやすく解説

税理士試験の勉強のポイント

税理士試験の勉強のポイント

税理士試験は1度の試験で5科目すべてに合格する必要はありません。科目合格制度が採用されているので、数年かけて挑戦するケースがほとんどです。

しかし、長期化する点を考慮して挑まなければ、途中で挫折する可能性があります。税理士試験の勉強をする際に知っておきたいポイントを解説します。

勉強時間・合格率だけで選択科目を選ばない

勉強時間は冒頭で紹介しましたが、科目ごとの過去5年間の合格率も掲載します。

年度2022年度2021年度2020年度2019年度2018年度
簿記論23.0%16.5%22.6%17.4%14.8%
財務諸表論14.8%23.9%19.0%18.9%13.4%
所得税法14.1%12.6%12.0%12.8%12.3%
法人税法12.4%12.8%16.1%14.7%11.6%
相続税法14.2%12.8%10.6%11.7%11.8%
消費税法11.4%11.9%12.5%11.9%10.6%
酒税法13.2%12.6%13.9%12.4%12.8%
国税徴収法13.8%13.7%12.2%12.7%10.7%
住民税17.2%12.7%13.9%19.0%13.5%
事業税14.1%12.6%12.2%14.8%11.0%
固定資産税18.4%13.8%18.1%13.7%14.9%
出典:国税庁「税理士試験

簿記論・財務諸表論は20%を超える年度もありますが、税法科目の合格率に大差はありません。勉強目安時間が少ない科目でも、合格率はほぼ変わらないことがわかります。

そのため、勉強時間や合格率を参考にするのではなく、実務に直結するかどうかで選ぶのをおすすめします。

関連記事:税理士の難易度は高い?合格率や科目別の勉強目安時間を紹介

おすすめの選択科目は国税四法・ミニ税法

実力のある税理士になるためには、国の税収の多くを占める国税四法から選ぶのが近道です。一方、学習量が少なく実務でもあまり使わない科目は、ミニ税法と呼ばれます。

国税四法法人税法、所得税法、相続税法、消費税法
ミニ税法酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税、(消費税法)

そのため、必須科目である簿記論・財務諸表論に加え、国税四法から選択するのがおすすめです。

消費税法は勉強時間を要するが選択の価値は十分にある

なお、消費税法はミニ税法に含まれますが、毎年改正があり内容も複雑になってきているため、少ない学習量で合格できるとはいえません。勉強時間もかかります。一方で、実務上の重要性は高く、選択する価値は十分にあります。

国税四法のなかからどれを選択するか迷う場合は、将来どの分野で活躍したいかを基準にするとよいでしょう。もしくは、興味がある科目でも構いません。

なお、税法科目のなかで最も受験者数が多いのは消費税法ですが、個人的には法人税・所得税・相続税のほうが受験者のレベルが高いと感じました。科目選びに迷った際は、ぜひ参考にしてください。

数年かけて合格を目指す

税理士試験に1年で合格したいと思う人もいるかもしれませんが、ハードルはかなり高いといえます。3~5年で合格できれば早いほうで、平均で10年程度とのデータもあります。

早く合格したい気持ちはわかりますが、数年かけてコツコツと目指すのが一般的です。長期間のスケジュールを立てましょう。

勉強時間は多めに見積もる

総勉強時間の目安は5,000~10,000時間と紹介しましたが、多めに見積って計画を立てることが重要です。過密なスケジュールで合格を目指しても、なんらかの事情で計画が崩れてしまうかもしれません。

また、税理士試験は合格基準点は60%ですが、実質的には相対評価のため上位に食い込む必要があります。合格基準点に到達しても必ず合格できるとはいえないため、多すぎるくらいに勉強時間を見積もり、余裕のあるスケジュールを立てておくと安心です。

長期化する覚悟をもつ

税理士試験は途中で挫折する人も少なくないため、長期化する覚悟をもっておきましょう。

合格まで10年以上かかる可能性があるので、途中でライフステージが変わる人もいるでしょう。とくに結婚や出産、育児や介護が必要な場合は、勉強に充てる時間が減るのも無理はありません。

なぜ税理士になりたいのか、税理士になって何をしたいのかを明確にしておくことが、長期化する中なかで勉強のモチベーションを保つ方法の一つです。

税理士試験の勉強時間についてよくある質問

税理士試験の勉強時間についてよくある質問

税理士試験や勉強時間について、以下の疑問を抱く人も多いでしょう。

  • 社会人でも働きながら税理士試験の合格を目指せますか?
  • 大学生でも合格できますか?
  • 独学で合格するのは厳しいですか?
  • 多くのサイトでは3,000~4,000時間と書かれていますが実際には?

理由をあわせて解説するので、気になる方はチェックしてください。

社会人でも働きながら税理士試験の合格を目指せますか?

働きながら試験勉強をするのは大変ですが、不可能ではありません。一定の収入を確保しつつ、勉強もしたいのであれば税理士事務所で働くのがおすすめです。

実務の内容が試験に役立つだけでなく、税理士登録をするには2年以上の実務経験が必要です。そのため、税理士事務所で経験を積みながら、試験合格を目指す受験生も多くいます。

ただし、仕事と試験勉強を両立するためには事務所選びが重要です。とくに税理士業界は5月末までが繁忙期なので、8月の試験までわずか2ヶ月しかありません。残業や休日出勤が多発すれば、勉強時間を捻出できないでしょう。

なかには、受験生に理解のある税理士事務所もあります。たとえば、試験前になると試験休暇制度を導入しているケースや、勉強会を開く事務所もあるので、応募する際に確認しておきましょう。

大学生でも合格できますか?勉強時間やスケジュールは?

大学生でも十分に合格を目指せます。大学4年間でケジュールを組み、勉強時間を確保すれば在学中の合格も夢ではありません。以下の表は、令和4年の学歴と年齢別の受験結果です。

学歴別受験者
(人)
5科目
到達者数(人)
一部
合格者数(人)
合格者数
合計(人)
合格率
(%)
大学卒21,822 4933,5614,05418.6
大学在学中1,463 43643629.8
短大・旧専卒66016759113.8
専門学校卒2,5915940446317.9
高校・旧中卒1,9624438943322.1
その他355 814114942.0
出典:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験
年齢別受験者
(人)
5科目
到達者数(人)
一部目
合格者数(人)
合格者数
合計(人)
合格率
(%)
41歳以上10,8052749651,23911.5
36~40歳4,40711274385519.4
31~35歳4,8511149011,01522.2
26~30歳4,1318291199324.0
25歳以下4,929381,4861,52430.9
合計28,8536205,0065,62619.5
出典:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験

上記の表より、大学在学中や20代の合格率は高いことがわかります。また、令和5年度の税理士試験から簿記論・財務諸表論の受験資格が撤廃されたほか、税法科目の要件が変更されました。

以前までは、3年次に法律または経済に属する科目を62単位以上取得している必要があったため、法学部や経済学部生以外の受験は難しい傾向にありました。

しかし、社会科学に属する科目に変更されたので、文理を問わず挑戦しやすくなったのがポイントです。たとえば、1~2回生で簿記論・財務諸表論に合格して、3・4回生で税法科目に挑めば大学在学中の5科目合格も夢ではありません。

科目合格していれば履歴書に書けるため、就職活動でも有利です。税理士に登録するのは実務経験が2年以上必要ですが、5科目合格は大学生でもチャンスが広がりました。

独学で税理士に合格するのは無理ですか?難易度は?

独学を予備校や通信講座に申し込まず「市販のテキストだけで勉強する」と定義づけます。その場合、すべての科目に合格するのは、無理とは申しませんが、かなり厳しいでしょう。

なぜなら、独学用のテキストが少ない点や、法改正に対応するのが難しいからです。会計科目であれば市販テキストも販売されており、法改正も頻繁に起こらないので独学でも合格できる可能性はあります。

しかし、税法科目を一人で勉強するのは不可能といっても過言ではありません。独学を検討する理由は、費用の負担を軽減させたい理由が大半でしょう。それならば、予備校を利用して少しでも早く税理士として活躍するほうが得策です。

独学で挑戦したものの結局合格できずに予備校を利用すると、時間もお金もかかってしまうので、おすすめはできません。

多くのサイトで税理士の勉強時間は3,000~4,000時間と書かれていますが実際には?

大手予備校のサイトでは、税理士になるための勉強時間は3,000~4,000時間と書かれているケースが非常にありますが、「理論暗記に要する時間は省略する」と記載されていることがほとんどです。

小さな字で書かれているため、他のサイトでも気づかないまま3,000~4,000時間と紹介するのでしょう。暗記の得意・不得意は人によるので一概にはいえませんが、かなりの時間を要します。

そのため、本記事では税法科目の勉強時間を2倍程度多く見積もって、5,000~10,000時間と掲載しています。

税理士試験の勉強時間を参考に合格を目指そう

税理士試験の勉強時間を参考に合格を目指そう

科目によってバラつきはありますが、総勉強時間は5,000~10,000時間です。数年かけて試験に挑む場合がほとんどのため、勉強目安時間を参考にスケジュールを構築しましょう。

ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。

当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。

一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。

働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。

働きながら資格の取得を目指したい方は、ぜひウィズ総合事務所グループの採用の詳細をご確認いただき、よろしければご応募ください。

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この記事の監修者

ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介

  • 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
  • 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
  • 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
  • 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
  • 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立

税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。

従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。

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