経理の年収は何で決まる?年収アップするための3つの方法を解説
公開日: 2023年8月26日
更新日: 2024年11月14日
「経理の平均年収ってどのくらいだろう?」「経理を続けていて年収が上がるのか不安」このように現在、経理職へ就いているものの、将来のキャリアに不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、経理職の年収事情と、経理職で年収を上げる方法を解説します。
この記事を参考に、経理職としての現在の立ち位置を把握し、年収アップも含めた将来のキャリア設計を考えていきましょう。
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企業の経理職と会計事務所では給与基準が異なる
まず前提として理解しておきたいのが、企業における経理職と会計事務所の職員では、給与を決定する基準が異なる点です。また、それぞれで仕事の内容にも違いがあります。
会計事務所の仕事は、クライアント企業の経理業務や、税務コンサルティングを含めた幅広いサポートです。会計事務所の職員の場合、個人の売上が成果として反映され、年収に大きく影響します。
対して、経理の仕事は、自社のお金を管理する業務が中心です。企業に勤める経理職の場合は、勤務先の企業の平均年収が基準となり、経理職の年収を決定するケースが多数を占めます。
さらに深堀りをすると、企業の平均年収は上場・非上場や従業員数といった要素が影響するため、企業に勤める経理職の年収は、企業規模と相関すると言えるでしょう。
同じ会計業務でも、所属先の属性によって給与基準が変わることを覚えておきましょう。
経理の平均年収【男女・年代別も解説】
厚生労働省が提供するjob-tagのデータによると、経理職の平均年収は450万円であることがわかります。
国税庁が発表した令和3年分の民間給与実態統計調査では、全業種の平均年収が443万3,000円とされているため、全業種平均と比較すると、経理職の年収水準は少し高めです。
ただし、平均年収450万円という数字は、年齢や性別などで分けず、すべての経理職の平均年収を出した数値となります。より詳細なデータを把握するにあたって以下で性別、年齢別のデータを紐解いていきます。
引用元:厚生労働省:job-tag
引用元:国税庁:令和3年分「民間給与実態統計調査」
男女別での経理の年収の違い
男女別の経理の年収は、経理職男性の平均年収が526万6,300円、経理職女性の平均年収が384万9,400円という結果でした。
経理職の男女比率では、男性54%、女性46%と比率に大きな差はありませんが、平均年収では男女で140万円以上の開きがあることが確認できています。
経理職の男女で年収に開きがあるのは、男性経理職と比較して、女性経理職の方が非正規雇用者やアルバイト、パートタイマーの割合が高いことが起因しています。
加えて、転勤や海外出張などの労働環境の負担を考慮し、大企業より中小企業で働く女性社員が多いことも要因の一つです。中小企業は、大企業と比較して決算の回数も少ないため、ワークライフバランスを重視して働き方を選択する女性の方も多いでしょう。
このような背景から、経理職の男女には年収の開きが生まれています。
引用元:男女別:賃金構造統計調査 2022(令和4年)
年代別の経理の年収
年代別での経理の平均年収は、下記の表の通りです。
~19歳 | 226.36万円 |
---|---|
20~24歳 | 300.87万円 |
25~29歳 | 380.73万円 |
30~34歳 | 422.33万円 |
35~39歳 | 462.21万円 |
40~44歳 | 485.02万円 |
45~49歳 | 492.29万円 |
50~54歳 | 506.76万円 |
55~59歳 | 522.86万円 |
60~64歳 | 418.83万円 |
65~69歳 | 368.56万円 |
70歳~ | 366.11万円 |
この表から55~59歳の年代まで、年齢が高くなるにつれて経理の平均年収が上がることが確認できます。
年齢に応じて平均年収が上がる理由としては、経理業務は知識と経験が大いに評価される側面があるため、年齢に応じて積み重ねたものが増えれば、年収にも反映される仕組みとなっているためです。
反面、意欲を持って自己研鑽を続けなければ年収は上がりません。税法のアップデートや、新しい資格や知識を獲得することが年収アップに必要な要素です。
年収が高い経理の人物像
続いて、年収が高い経理の人物像について解説します。経理職として年収アップを目指すのであれば、目指すべきロールモデルを把握しておきましょう。
経理は役職や経験、資格、責任範囲などによって年収が変わります。一般社団法人人材サービス産業協議会が提供する転職賃金相場2022 経理財務を参考に、年収が高い経理の人物像をまとめました。
年収が高い経理の人物像は以下のような人です。
- 規模や業種を問わず、財務・リスク管理・IFRS・IRの責任者や部長以上
- 経理経験10年以上、公認会計士資格・経験、上場支援など高度な財務業務の経験、上場企業での管理職経験、決算経験、監査法人・会計コンサル企業での会計関連業務経験がある
- 40代~50代の場合、同職種からの転職が多く、転職経験は2回以上の人が多い
- 20代~30代の場合、コンサルティング業界から専門職として転職する人もいる
上記内容は、年収1,000万円以上を想定したモデル像です。
年収を上げるためには責任者や部長といった役職に就くことや、公認会計士資格の有無、所属する企業の規模や属性などが関わってきます。
今後のキャリアを考える参考として、覚えておきましょう。
引用元:一般社団法人 人材サービス産業協議会:転職賃金相場2022 経理財務
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経理の方が年収を上げる3つの方法
続いて、経理の方が年収を上げる方法について解説します。
経理の年収を上げる具体的な方法は下記の3つです。
- 年収の高い会社に転職する
- 高度なスキルや資格を取得し、昇格を目指す
- 会計事務所に転職して個人売上を伸ばしていく
1つずつ詳しく解説しますので、ご自身にあった方法を選択しましょう。
年収の高い会社に転職する
一定の経験や資格がある人なら、年収アップの一番現実的な方法は転職です。経理職の年収は、勤務先企業の平均年収によって左右されるため、平均年収の高い業界や、規模の大きい企業への転職を狙うのが、年収アップの基本戦略と言えるでしょう。
経理職の平均年収より、さらに上を目指すのであれば、管理職ポジションの転職、または管理職を目指せる企業を探す必要があります。マネジメントスキルや英語力、今まで携わったプロジェクトの大きさなども転職時の給与を決定する要素です。
転職先を選ぶ際の注意点は、転職時の条件だけを優先するのではなく、長期的なキャリアを考えることです。企業に将来性があり、より多くの経験値を積めそうな企業を選ぶのがベターと言えるでしょう。
高度なスキルや資格を取得し、昇格を目指す
税務、管理会計、資金調達などに関連する知識や、税理士資格や公認会計士などの難関資格を取得し、現在働いている環境で昇格を目指すのも年収アップ方法の1つです。
課長職や部長職などの役職がつけば、会計業務だけでなく、決算書類の作成や新人育成など業務の幅が広がり、手当によって給与が大幅に上がる可能性があります。
昇格するためには、企業が定める資格や知識を獲得する必要があるので、上司に役職を得るための要件を確認しておくのが好ましいでしょう。
ただ、事前に理解しておきたいのは、管理職になれば年収は上がりますが、業務量も増し責任も重くのしかかることです。管理職は人やプロジェクトの管理を任されます。もし自分にマネジメントの適正がなければ、仕事をすることが辛くなってしまうため、その点も考慮しキャリアアップの選択を考えた方がよいでしょう。
経理職の年収と関連性のある資格については、のちほど詳しく解説いたします。
会計事務所に転職して個人売上を伸ばしていく
個人売上が給与基準となる、会計事務所に転職するのも年収アップの方法です。
企業における経理職は管理部門として機能していますが、会計事務所における経理の仕事は売上をあげる源泉となります。会計事務所の仕事は個人の売上に応じて年収が上がるため、実力が評価されやすい仕組みと言えるでしょう。
会計事務所では記帳代行、決算業務、税務申告などの業務を行っており、会計事務所においても資格の有無で業務の幅が変わり、給与にも影響します。
強い成長意欲がある方や、実力主義の現場で仕事をしたい方には、会計事務所の転職は最適な選択です。
会計事務所を選ぶ際は年収アップを目指せるように、規定や制度が整えられている事務所を選ぶようにしましょう。
年収を上げたい経理の方におすすめの5つの資格
続いて、年収を上げたい経理の方におすすめの資格を5つ紹介します。
経理職は、資格取得によって対応できる業務の幅を広げ、年収アップの可能性を高められる職種です。
さっそく、おすすめの資格を1つずつ詳しく解説していきます。
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日商簿記検定
日商簿記検定は、日本商工会議所が主催する、簿記知識を測定する検定です。
1級・2級・3級・初級の4つにレベル分けされており、1級では、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえ、経営管理や経営分析を行うために求められるレベルの知識が出題されます。
簿記1級の難易度は高いですが、合格すると税理士試験の受験資格が得られるため、税理士試験や公認会計士試験へのステップアップを狙いたい人にもおすすめの資格です。
簿記の知識は、経理職の業務に深く関連するため、簿記1級の取得を目指して挑戦してみましょう。
FASS検定
FASS検定は、経理・財務分野で活躍する実業家によって開発された検定試験です。経理・財務の実務に特化していることが大きな特徴で、実務経験が長いほどスコアが高くなる傾向があります。
検定結果は合格・不合格ではなく、A〜Eの5段階で評価されるため、客観的に現在の自分の能力が測れる仕組みとなっています。また、資産・決算・税務・資金の4つの分野から出題され、分野ごとに評価がでるため、自分に不足している知識を可視化できるのもメリットの1つです。
キャリアアップのために取得する資格としてもおすすめですが、現在の実務レベルを確認する目的で検定を受けてみるのもよいでしょう。
ビジネス会計検定
ビジネス会計検定試験は、財務諸表に関する知識や分析力をテーマとした試験です。ビジネス会計検定試験は、経理担当者のみではなく、会計知識を学びたい営業、企画担当者、経営者など、幅広いビジネスパーソンが受験しています。
1級・2級・3級の3つにレベル分けされており、1級では、投資関連の各種ディスクロージャーや、財務諸表と計算書類の総合的な理解が必要な内容が出題されます。
ビジネス会計検定試験1級も比較的難易度が高い資格ですが、自社の経営分析ができる人材と評価される可能性が高まるため、経理職の年収アップの武器になる資格と言えるでしょう。
税理士試験
税理士資格は、税のスペシャリストとしての国家資格です。
企業で税理士として働く場合、税務書類の作成や税務申告手続きに加え、会計・税務視点から経営層に対してアドバイスを行う役割を任せられます。また、税理士としての登録をすれば、独立開業することも可能です。
税理士試験への合格は簡単ではありませんが、経理職の仕事から税務に関する仕事へ幅を広げるためには有効な資格と言えるでしょう。
将来的に独立を考えている方や、仕事の幅を広げたい方におすすめの資格です。
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公認会計士資格
公認会計士資格は、唯一、監査業務を許可された国家資格です。公認会計士資格を得ることで、監査業務、株式公開支援など活躍の場を広げ、市場価値を高められます。
公認会計士資格は知名度、信頼度とともに高い資格であり、独立にも転職にも有利に働く資格のため、時間をかけてでも取得する価値のある資格と言えるでしょう。
今後、グローバルに活躍していきたい方には、米国公認会計士(USCPA)という国際ビジネス資格を取得する選択肢もあります。理想のキャリアを描いたうえで、どのような資格が必要かを考えていきましょう。
目標の年収を見据え、成長できる場所で経理スキルを伸ばしていこう
今回は経理職の平均年収や、年収を上げる方法について解説しました。
経理職は、知識や経験、資格の有無など、自分の成長が年収に反映されやすい職種です。そのため、どのような環境に身を置くかで今後のキャリアも大きく変わります。
ウィズ総合事務所グループは税理士・社労士等の士業資格や簿記等の経理系の資格取得を目指している方を積極的に採用しています。
当事務所では資格取得に向けて全国でもトップクラスの支援制度を設けています。
一定の要件はありますが、教材費は事業者が全額負担しますし、最大2ヶ月間試験勉強に専念できる制度があります。
また、平常時においても1日6時間、週30時間を標準勤務時間としており、勉強、家庭、仕事のバランスがとりやすいように配慮しています。
働きながら勉強することは資格勉強にも相乗効果を生みます。
また、弊所では個人売上に応じたインセンティブ給を支給しています。前職と比べて労働時間は短くなったが年収が50%増、2倍になった人もおり、実力を評価する制度が整っております。
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この記事の監修者
ウィズ総合事務所グループ統括代表 山本庸介
- 大阪大学薬学部、同大学院薬学研究科卒業
- 慶応大学経済学部卒業(通信教育課程)
- 大手製薬会社に勤務後、税理士を志す
- 2021年7月に大野市で山本総合会計事務所を開業
- 2023年9月に税理士法人ウィズ総合事務所を設立
税理士試験に2年で5科目合格(簿財消相法)。開業2年でグループ売上1億円に達する。
従業員が資格を取得しやすい制度・環境を構築し、本事務所を運営。事業者のお客様に対しては、本業に集中できるよう、「事務代行屋」として支援を行う。
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