こんにちは。山本庸介です。
税理士試験に約1年9カ月で5科目合格した自分自身の経験をブログにまとめ発信しています。
短期間で税理士試験を突破することができた秘訣を今回は書きたいと思います。とくに「理論暗記のポイントを知りたい」「暗記量のボリュームの多さに悩んでいる」方は、ぜひご覧ください。
そう言っては元も子もないと思われるかもしれません(笑)。しかし私の税理士受験記を最後までお読みになった皆さんならわかると思います。2年目の法人税法合格は運がよかったです。受験生の大多数が学ぶ大原・TACのうち、大原生不利、TAC生有利な問題が出ました。
実力的には10回試験があったら3回は合格、7回は不合格になるぐらいのレベルだったと思っています。たまたま良い結果を引き当てただけです。
法人税法は理論暗記勝負
税理士試験、特に税法科目は基本的に理論暗記勝負です。膨大な理論テーマを一言一句暗記しても、問われるのはその理論の中で数題程度。当時の法人税法の暗記項目はTAC理論マスターで約120題ありました。120題中100題覚えていても、覚えていない20題から問題が出ると書けません。30題しか覚えていない人でも、その中から問題が出れば戦えます。
過去の試験問題の傾向からは多少変わったそうですが、基本ベタ書きです。覚えた理論を一言一句間違えずにそのまま書けるかが勝負で、税法の考え方や思考力が問われるような試験では基本ありません。初学者がAランクのみ精度高く暗記して、ベテランの方がA~Cランクまで万遍なく暗記していた場合、試験本番でAランクの問題が出れば、初学者が勝ってしまうでしょう。
税理士試験は暗記の量より運が合否を左右する
1年かけて膨大な量の暗記を行っても、試験本番の限られた時間の中で人間が書けるボリュームの記述で合否が左右されます。理論問題に1時間かけたとして、たかだか解答用紙5,6枚が限度でしょう。受験生の皆さんの脳内には100枚、200枚、300枚と書ける情報量が入っています。試験時間が2時間ではなくて、12時間とか、3日にわたって一つの税法科目の試験を行うとかなら話は違ってくるかもしれませんが。
私は税理士試験、特に税法科目は運に左右される部分が大きいと思っています。合格者の中でもトップ10%ぐらいはどんな問題が来ても合格できるレベルだと思います。でもそれ以下の方は試験問題によって合否が左右される、運の要素が強い試験だと思います。
税理士試験で最後まで諦めない姿勢!理論の題数にチャンスあり
逆説的ですが、運要素が強い試験だからこそ最後まで諦めない姿勢が大事だと思います。計算をある程度固めて理論勝負に持ち込める状態になれば、誰しも合格チャンスはあります。
私が法人税法に合格したのは、5月末時点で講義スケジュールに約5か月間遅れていても、試験勉強を諦めなかったことが大きな要因です。計算を固めて理論勝負の状態にまで持っていきました。もちろん覚えた理論の題数は少なかったですが、チャンスはありました。
働きながら税理士になるスケジュールと心構え
税理士事務所で働きながら受験勉強している方はよく実感されていると思います。5月末までが超繁忙期で勉強している暇がないですよね。特にベテランになってくると、職場でもそれなりのポジションを任され、担当する税務申告の件数も1件1件の難易度も高くなっていくでしょう。繁忙期を何とか乗り越えた6月頃には試験まで残り2か月。間に合わないから今年は諦めようってなりがちだと思います。
ここで歯を食いしばって、残された時間で勉強してください。きっと完璧には程遠いと思います。でも、追い込まれながらも諦めずに必死で勉強する時が一番伸びる時期です。今年ダメだったとしても、血となり肉となって来年につながります。せっかく暗記しても来年には忘れるかもしれません。それでも覚えて忘れて覚えて忘れてを繰り返して、暗記は強化されます。
大事なことはバッターボックスに立てる状態に持っていくこと、立つ回数を増やすことです。諦めず最後まで勉強して下さい。
時間を確保する
気合と根性だけで合格する試験ではありません。問題によっては合格できるかもしれないレベルに達するためには一定の勉強時間の確保も必要です。
受験専念する方、会計事務所で働きながら受験する方、別業界で働きながら…、子育てしながら…、置かれている状況は人それぞれ。隣の芝生は青く見えるものです。自分の置かれた環境の中で勉強時間をいかに捻出するか考えて実行に移すことが必要です。
私は、会計事務所で働きながら受験しました。実家から勤務先までの通勤時間がもったいなかったので、勤務先の近くに勉強部屋を借りました。昼休憩中は勉強部屋に戻ってご飯食べながら勉強していました。勉強部屋には基本的に勉強道具と布団だけ。テレビとか勉強の邪魔になるものは置きませんでした。
繁忙期が過ぎた6月からは、職場の支援もあって、自分の仕事を同僚にお願いして勉強時間を捻出しました。
税理士事務所に勤務していると、5月末までは難しいでしょうが、6月以降は比較的時間は取れると思います。そんな時期でも勉強時間が確保できないようであれば、働き方を見つめ直すことも必要かもしれません。
関連記事:働きながらでも税理士は目指せる?勉強と両立するコツを解説
根底にあるのは絶対合格するという覚悟
根性論が好きでない方もおられると思いますが、税理士になる、試験に合格するという「覚悟」は必要だと思ってます。いかに時間を確保できたとしても、勉強しなかったら意味がありません。勉強時間を増やしてもダラダラ勉強していては効率も悪いでしょう。
私の税理士受験記を読んで頂ければわかると思いますが、自分のモチベーションはアップダウンしますし、目標もコロコロ変わります。
- 1年目簿記論、財務諸表論、相続税法の3科目合格、受験専念して短期合格を目指す
- 消費税法を加えて4科目合格を目指す
- 相続税法を諦める
- 受験専念を辞めて働きながら受験する
- 2年目法人税法、相続税法、所得税法の合格を目指す
- 所得税法を諦める
- 仕事が面白くなり試験勉強がおろそかになる
たった2年間ですが、これだけ変わっています。
税理士試験でモチベーションを維持するには
しかし、根底にあるのは、「田舎で税理士として人の役に立つ仕事がしたい」という想いです。東京でサラリーマンをしていた頃は年収約1000万円でした。1年以上悩み、考え抜き、一大決心して退職し、田舎の福井県に戻りました。税理士事務所で初めはアルバイトとして働きました。収入は東京で働いていたことと比べると半分どころではありません。半分の半分もないぐらいです。
中年のおっさんが場所も業界も職種も変えて、一から新たな道に挑戦するのです。絶対この道で成功するという「覚悟」を決めていました。
- 倒れるときは前のめり
- できない言い訳をする時間があるならできる方法を考える
考えはコロコロ変わりますが、自分で決めた「田舎で税理士として人の役に立つ仕事がしたい」という想いを実現するために、試験合格と実務経験を最速で得るための方法を常に考えてやってきました。
税理士試験は国家試験の中でも特殊な試験ですし、長期化しやすい試験だと思います。諦めそうになる時もあるでしょう。なぜ税理士になりたいのか、税理士になって何をしたいのか、ここがしっかりして「覚悟」が決まっていれば、早い遅いはあっても税理士になれると思います。